相田 将明
旅のための服”Trawear”は一見何の変哲もない普通の服に見えるが、幾つかの工夫が施されている。
旅先では慣れない気候や予想外の天候、フォーマルな場からカジュアルな場まで、様々な状況に対応しなければならない。
未知の環境で、重要性の高いものを常に持ち歩かなくてはならないリスクにもさらされている。
そんな旅の中で、脱ぎ着がしやすく、たたみやすい。大事なものを肌身離さず持ち歩ける、新たなシャツのかたちを提案する。
青野 信仁
旅の醍醐味は何かーーー
目的地に到着して、思い切り楽しむ時間ももちろん良いが、その道中に遠くの地に思いをはせるそんな時間も捨てがたい。
Unknown Cityはそんな時間を再現する、見た人を空想の世界に誘う作品である。小さなモニターに描画されるプリミティブな図形が、車窓の眺めさながら、次々と名前のない街並みを映していく。
旅の途中の風景は、姿かたちを変えながら永遠に続いていく。どこでもない景色を電車からぼんやり眺めているかのような体験を楽しんでほしい。
秋山 慶太
Travelliumは、「旅を記録し、思い出す」ための小型プリンタです。このプリンタはユーザーが旅行している間、家で留守番をしています。旅先で写真を撮り、SNSに投稿すると、その画像を見て印刷してくれます。ユーザーが帰宅すると、Travelliumは一連なりに印刷された旅の写真とともにユーザーを出迎えてくれます。写真のロールを切り取って手帳に貼れば、簡単に旅の記憶が映ったアルバムが出来上がります。
紙にプリントされた写真には、見る人の記憶を蘇らせ、想像力を刺激する力があります。Travelliumは、デジタル自体における「アルバム」の一つの形を提供します。
石上 諒一
「茶箱は、旅での時間の過ごし方のひとつ」
ある茶人の言葉。古くから各地で楽しまれてきた茶では、茶席に自分の道具を運ぶためにあらゆる素材で用いた茶箱を用意し、中に道具を設えてきた。
また、野外で茶または抹茶を入れて楽しむ茶会のことを「野点」といい、屋内での茶道では重視される細かい作法が簡略化された気安い催しもある。
私の「紅茶箱」では、格式もお手前も無く茶を楽しむこと、行き先の好きなとき、好きな場所で道具を広げ、紅茶を淹れて一休みできることが醍醐味である。
金岡 千賀子
母が少女だった頃、住んでいた島は外部からの侵入が禁じられていた。台湾の離島である馬祖は中国との戦争の最前線であり1994年まで閉ざされていたのだ。島民のほとんどが軍事関係者であり、体育の授業では銃撃を学んだ。夜には仲のいい友達や兄弟と松明を手に冒険した。おやつ代わりに海辺で貝を採取した。
そこにしかいない、美しい白い鳥がいた。
そんな母の記憶を辿りながら島を旅し、島の記憶にまつわる箱を制作した。
シカノツノ(鹿野 峻/スミカズキ)
旅に行った時、出会った景色や出来事を誰かに伝えたくなる瞬間ってありませんか?
そんな時その旅でしか出会えない景色を閉じ込め現地から直接送り届けられたら素敵ですよね。
家族や友達へ、あなたはどんな旅を届けますか?
髙田 翔太
旅に行った時、その地で手に入れたものをモチーフにして、その形を発想のきっかけにして空想地図を作成しました。
その場所での思い出を写真や日記、お土産を買うなどして記憶にとどめようとするように、自分の旅の記憶を空想地図として書き起こすことで記録した作品です。
xorium
「コエタビ」は人の声を旅させるシステム。糸電話のようなこの装置に吹き込まれた声は空間の中で反響し、旅をし始める。そこでは他の人の声とも出会う。そして音楽のように響き合う。
声は、簡単にアウトプットできるその人自身である。声の旅というものは、その人自身が旅に出て様々な出会いをする、その記憶を呼び覚ます。
中尾 知世
海の中を旅する生物イカは、体色変化を特徴としている。イカは体色を変化させることで自身の感情を表現しているという説がある。イカのように心の昂りを色の変化で表現するというコミュニケーション方法を人間でもできないかと考えた。人間は感情によって体温が変化するので、その現象を利用して、体温によって色が変化するグラフィックのTシャツを制作した。
なかよし
貝殻を耳に当てた時、海の音が聞こえるように感じます。日常の何気ない音も貝を通して聞くことで別の音と錯覚するのでは、と考えました。
この「旅に錯覚する貝」は、日常の生活音が旅先で聞こえる音のように聞こえる装置です。お風呂が沸く間、パンが焼ける間、洗濯機が回る間…
日常の何気ない音に耳を傾けると、いつもと違った聞こえ方ができるかもしれません。
日常を旅のようなワクワクする時間に。
橋本 綾香
#tonkotsu_journeyはひとりでラーメンを食べる夜が、ほんの少しだけ楽しくなるラーメン巡りのお供です。
あなたがラーメン屋さんをめぐると同時に、tonkotsuは、ラーメンの温泉旅をしています。濃厚ドロドロスープからあっさり透明なスープまで、スープの湯はさまざま。温泉を楽しむtonkotsuの姿を通して、新しい食事の楽しみ方を提案します。
森田 裕之
旅路にはいくつもの「分岐点」があります。どの道を選ぶかによって、旅は大きく変化していきます。その選択が正解かどうかはわかりません。ただ、選択肢があることを認識している状況こそが重要なのです。
このプロジェクトは、スイス南方のとある石材工場に訪れたことをきっかけに始まりました。そこには加工後に濾過され廃棄物として扱われる大量の石屑があります。このプロジェクトは、その廃棄物に別の「分岐点」を与えるという試みです。
無価値なモノとして、廃棄の一途を辿っていたモノに、コーヒーカップとカラフェとして、機能的/衣装的な価値を見出しています。
302design
”音楽と酒は、言語の壁を超える。”
このアクセサリーは、世界各地のワインから結晶を作り、アクセサリーとして加工したものだ。ワインは世界中で造られているため、旅の土産とする人も多い。そんなワインを身に着けて旅することで、例えば、世界中どこでも共通の話題が生まれるのではないかと考えた。
akii
「食べる民」と「働く民」。
食材を調理したり、整理したり、食べてばかりしていた民たちが、一歩も出なかった自国を離れ、異国の地「働く国」へと旅立った。
そこは、知恵を絞り、様々なことを生み出す、働く民の占領地。
食べる民が言った。
「あれなら俺達の方がうまくできるね」。